東京高等裁判所 昭和50年(う)1324号 判決
被告人 山田盛三郎
〔抄 録〕
前記した事実関係からして、被告人の行為が公職選挙法二二五条二号所定の「文書図画を毀棄し………選挙の自由を妨害したことに外形上該当することは明らかというべきである。問題は、本件ポスターの適法性との関連において、被告人の行為が権利行使、自救行為などにあたり違法性を阻却されることにならないかどうかであるが、行政当局の解釈のように、本件ポスターの掲示が公職選挙法に違反しない適法のものということになれば、私人がこれを勝手に引抜き放棄することが許されてよいわけはなく、その行為を違法とみるべきことは当然である。また一方、本件ポスターの掲示が公職選挙法一四五条一項本文に違反する違法なものであると解した場合においても、同法一四七条によって選挙管理委員会が設置者にその撤去を求める(前記小堺証人の証言によれば、都内の場合、実際にそのような措置をとることは行なわれている由である。)とか、所有権、管理権に基いて区がその撤去を求めるとかの方法が可能といえるだけであって、一般私人がこれを直ちに撤去してよいとは決して考えられず、被告人が町内会の副会長であり保護司であることによっても、本件の行為が権利行使あるいは自救行為などにあたるとは考えられない。結局、被告人の行為はやはり前記の選挙自由妨害罪に該当する違法なものといわなければならない。
(藤井 山木 千葉)